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SBIソーシャルレンディング株式会社に対する行政処分について

令和3年6月8日
関東財務局

SBIソーシャルレンディング株式会社に対する行政処分について

1.SBIソーシャルレンディング株式会社(本店:東京都港区、法人番号5010401073969、第二種金融商品取引業)(以下「当社」という。)は、当社ウェブサイトを通じて、自らを営業者とする匿名組合(以下「ファンド」という。)の出資持分の取得勧誘を行い、その出資金により貸付事業を行っている。なお、令和3年4月末現在、償還期限が到来していないファンドは、64本、出資金約470億4100万円である。

 

 当社に対して金融商品取引法第56条の2第1項の規定に基づき求めた報告等(当社が設置した社外の有識者により構成された第三者委員会の調査報告書を含む。)により、当社が取り扱うファンドの取得勧誘の適切性等を検証した結果、以下のとおり、重大な問題が認められた。

 

(1)ファンドの取得勧誘に関し、虚偽の表示をする行為

 当社は、甲社の設立した合同会社(以下「SPC」という。)を貸付先、甲社をその業務の委託先とする複数のファンドにおいて、太陽光発電所や中規模賃貸マンションの開発等を目的として設立されたSPCに貸付けを行い、完成した発電所又は建築物の売却、あるいは他の金融機関からの借換え融資により弁済を受けることとしていた。

 このような案件として、平成30年11月から令和2年10月にかけて、「SBISL不動産ディベロッパーズローンファンド」(9号から14号、16号から18号、20号に限る。以下、総称して「不動産開発案件」という。)及び「SBISLメガソーラーブリッジローンファンド」(17号、18号、20号、24号から26号、29号、31号から33号に限る。以下、総称して「太陽光発電所開発案件」といい、不動産開発案件と併せて「甲社案件」という。)の募集を行い、出資者から総額約207億円の出資を受けている。

 当社は、甲社案件の取得勧誘に際し、当社ウェブサイト上の募集ページ、契約締結前交付書面等(以下「募集ページ等」という。)において、当該出資金の貸付先であるSPCの資金使途に関し、
・ 「借手の行う不動産関連事業における、土地の購入及び建物の建築プロジェクト資金の一部として使用」、
・ 「借手が行う太陽光発電事業のプロジェクト資金の一部(売電権利及び事業用地使用権の取得費、建設費その他諸経費等)」
等の表示を行っていた。

 しかし、当社は、下記(3)に記載のとおり、取得勧誘を行った甲社案件の募集ページ等における資金使途の表示と実際の資金使途が同一となっているかについて確認を行っておらず、令和2年11月、甲社から資金繰りの悪化について申し出があったことを受け、当社が実施した調査により、遅くとも同年12月、表示された事業に貸付金が使用されたことが確認できない事例があることを把握した。

 また、その後の第三者委員会の調査報告書において、甲社案件におけるSPCへの貸付金総額約207億円のうち約129億円について、当社が出資者に表示した資金使途に違反しているとの認定を受けている。

 このように、当社は、甲社案件の取得勧誘に関して、虚偽の表示を行っていたものと認められる。

 

(2)ファンドの取得勧誘に関し、重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為

 当社は、甲社案件の取得勧誘に際し、募集ページ等において、自らの貸付審査及びモニタリングに関し、

・ 「借手から徴求した資料等に基づき、その財政状態等について精査し、資金使途を確認するとともに、貸付金債権等の回収可能性等について精査し、これらを総合的に勘案したうえで、貸付額、貸付期間、貸付金利を決定します」、

・ 「貸付債権等の返済予定表に基づき、借手からの利息支払日における利息支払額、元金返済期日における元金返済額を管理します。また、貸し倒れの兆候を早期に発見すべく、借手に対する継続的なモニタリングを実施します。」

等の表示を行っていた。

 しかし、当社は、下記(3)に記載のとおり、少なくとも平成30年11月以降に行った甲社案件の取得勧誘において、当該案件に関する実効的な貸付審査及びモニタリングを行っていなかった。

 甲社案件の募集ページ等の表示は、一般の出資者が読んだ場合、当社において、実効的な貸付審査及びモニタリングが行われているとの認識を与えやすいと考えられるところ、当社は、実効的な貸付審査及びモニタリングを実施することのないまま甲社案件の取得勧誘を継続していた。

 その結果、「ファンドの貸付審査及びモニタリング」という重要な事項について、誤解を生ぜしめるべき表示を行っていたものと認められる。

 

(3)当社の管理上の問題点

 ① 経営管理態勢及び業務運営態勢の重大な不備

 当社は、甲社案件の取得勧誘に関し、募集ページ等において、上記(1)及び(2)に記載のとおり、資金使途や貸付審査及びモニタリングに関する表示をした上で出資者から出資を受けたところ、遅くとも令和元年12月、甲社案件のうち、平成30年11月から12月にかけて貸付けを行ったA案件の開発スケジュールに遅延が生じていることを認識し、令和2年1月の時点では、当該遅延問題が解消されるまでは、甲社の新規案件を受け付けない方針としていた。

 しかし、その後、当該遅延問題や甲社の工事完成能力への懸念を解消するために必要な対応が取られていないにもかかわらず、甲社の口頭での説明を鵜呑みにするなど、当社内において実効的な検証を行わないまま、甲社の新規案件に係る取得勧誘を再開した。

 加えて、当社の前代表取締役は、令和2年6月末時点で、第1四半期(令和2年6月末)の営業利益実績が目標を大きく下回ったことを受け、年間営業利益目標の約半分を上期(令和2年9月末)で達成するために、取締役会等における必要な議論を経ることなく、自らの独断で第2四半期(令和2年9月末)の営業利益目標を大幅に引き上げていた。

 また、当社は、同年7月以降、親会社であるSBIホールディングス株式会社などから、甲社の業績及び資金繰りの悪化や、貸付金がプロジェクト以外の資金使途に使われる可能性等について再三の注意喚起を受けている。さらに、同年10月には、同月末に募集を行う予定であったB案件に関し、甲社から当社の前代表取締役に対し、「当社からの貸付けが実行されなければ、当該案件が不成立となり、結果として当社に対する貸付金の返済に懸念が生じる」旨の表明があった。

 このように、当社は貸付金が募集ページ等において表示する資金使途と異なる目的に使用される蓋然性の高まりを示す事実を認識しながら、同年11月、甲社自らが資金繰りの悪化を申し出て、甲社に係るファンドの募集を停止するまで、前代表取締役のもと、甲社案件の取得勧誘を推進していた。

 当社の経営管理態勢及び業務運営態勢には重大な不備があるが、その背景には、当社の事業拡大を第一優先目標とした過度な業績目標の設定のもと、それを達成するための安易な方策として甲社案件の新規ファンドに傾注し、その推進に多大な社内リソースを投入する一方で、コンプライアンスや内部管理面を軽視し、その人員不足を招くといった前代表取締役をはじめとする経営陣の法令遵守意識及び投資者保護意識の欠如や、これにより醸成された営業優先の企業風土があるものと認められる。

 

 ② 実効的な貸付審査及びモニタリングの欠如

 当社が予定どおり貸付金の返済を受けられるか否かは、甲社が行う建物建築及び太陽光発電所建設の完成の可能性又はそれを見据えた他の金融機関からの借換え融資の可能性にかかっていたことを踏まえれば、貸付金回収の観点から真に管理すべきリスクの所在は、SPC自体ではなく、事業主体かつ実質的な借手である甲社の施工・工事完成能力や経営状況・財政状態(以下「工事完成能力等」という。)にあったことは明白であったにもかかわらず、形式的な借手であるSPCの貸付審査を行うこととしていた。

 そのため、貸付審査については、貸付けを実行することを前提とし、かつ貸付金返済前にプロジェクトが完成して借入額以上の金額で売却、あるいは他の金融機関からの借換え融資が可能であることを前提にした、極めて形式的なもの(募集ページ等のフォーマットの記載事項を形式的に埋めるための情報収集)に留まっており、甲社の工事完成能力等に係る実効的な審査を行っていなかった。

 また、資金使途のモニタリングについては、SPCから甲社への工事請負契約に基づく請負代金の支払いの確認に留まり、甲社が、当該請負代金を募集ページ等に表示された資金使途のとおりに使用することについて、SPCに対して必要な資料の提出を求めるといった確認手段を講じていなかった。

 特に、甲社案件については、SPCに対して工事代金等が一括で貸し付けられ、工事請負契約に基づき、契約締結等の工事初期段階で、貸付金額のほぼ全てが甲社に支払われていたほか、甲社案件の取得勧誘が繰り返し行われており、その貸付残高も当社の全貸付残高の約4割(令和3年1月時点)にも達していたことを踏まえれば、各ファンドにおけるプロジェクトの完成状況や貸付金の償還原資をより慎重にモニタリングする必要性が高い状況にあった。

 しかし、当社は、甲社案件においては、各ファンドのプロジェクト進捗状況を定期的に確認しておらず、各SPCから貸付金に対する元本償還を受けるに際し、約定どおりの返済が受けられれば良いとの発想の下、当該貸付けに係るプロジェクトの完成状況や償還原資に関する確認(各プロジェクトの売却対価(又は各プロジェクトを担保とする他の金融機関からの借換え融資)により十分な返済原資を調達することができたのか等)を行う必要性も認識せず、また、実際に実施していなかった。

 このように、当社は、甲社の工事完成能力等に係る実効的な審査及びモニタリングを行うことなく、甲社案件の取得勧誘を継続しており、こうした状況が、上記(1)及び(2)の法令違反につながったものと認められる。

 当社は、顧客である出資者に対して誠実かつ公正に業務を遂行しなければならず、ファンドの業務執行者として善管注意義務を負っており、このために経営管理態勢及び業務運営態勢を整備し、実効的な貸付審査及びモニタリングを行うことが求められている。しかしながら、当社は、上記①及び②のとおり、ファンドの業務執行者として通常求められる善管注意義務を果たしていない状況下において、SPCへの貸付金が、募集ページ等において表示する資金使途と異なる目的に使用される蓋然性の高まりを示す事実を認識しながら、甲社案件の取得勧誘を一般投資家に対して行い、その資金を漫然と貸し付けていたものと認められる。

 

 当社が行った上記(1)の行為は、金融商品取引法第38条第9号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第2号に掲げる「金融商品取引契約の締結の勧誘に関して、虚偽の表示をする行為」に該当するものと認められる。

 また、当社が行った上記(2)の行為は、金融商品取引法第38条第9号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第2号に掲げる「金融商品取引契約の締結の勧誘に関して、重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為」に該当するものと認められる。

 さらに、当社の上記(3)の状況は、金融商品取引法第51条に規定する「業務の運営に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるとき」に該当するものと認められる。

 

 

2.このため、本日、当社に対し、下記(1)については金融商品取引法第52条第1項の規定に基づき、下記(2)については同法第51条の規定に基づき、以下の行政処分を行った。

 

(1)業務停止命令

 金融商品取引業の全ての業務(顧客取引の結了のための処理を除く。)を令和3年6月8日から同年7月7日まで停止すること。

 

(2)業務改善命令

① 募集したファンド全件(償還済のファンドを含む。以下同じ。)について、取得勧誘及び運用・管理の状況(貸付先の資金管理の実態や資金使途を含む。)並びに事務プロセス等を網羅的に検証した上で、第三者委員会の調査報告書において明らかとなった問題点等も踏まえ、募集ページ等において表示した資金使途と異なる目的に実質的な借手が貸付金を使用したことに対する当時の当社役職員の認識及び関与の状況や、今般の法令違反が発生した原因及び業務運営態勢上の問題点を究明すること。また、今般の法令違反について、責任の所在を明確にするとともに、金融商品取引業務を適切に行うための経営管理態勢及び業務運営態勢を再構築すること。

② 募集したファンド全件について、上記①において明らかとなった問題点等を踏まえ、出資者からの問い合わせ等に対して、誠実かつ適切に対応するとともに、出資者間の公平性に配慮しつつ、投資者保護に万全の措置を講ずること。

③ 上記①において明らかとなった問題点等を踏まえた再発防止策について、詳細な改善計画を策定すること。また、当該改善計画に基づき、今後行う業務に係る再発防止策を確実に実施・定着させること。

④ 全社的な法令等遵守意識の向上及び健全な企業文化の醸成に向けた方策(十分な社内研修の実施等を含む。)を策定し、取組みを進めること。

⑤ 本件行政処分の内容及び改善対応策について、全ての出資者を対象に適切な説明を実施し、説明結果を報告すること。

⑥ 上記①から⑤までの対応について、1カ月以内に書面で報告するとともに、以降、その全てが完了するまでの間、随時書面で報告すること。

 

 

本ページに関するお問い合わせ先

理財部証券監督第3課 電話 048-600-1293(ダイヤルイン)

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